大ヒット曲「シェリー」で知られる「ザ・フォー・シーズンズ」の栄光と挫折を描いたいわゆる「ジュークボックス・ミュージカル」というやつで全編にヒット曲がちりばめられている。
リアルタイムで曲を楽しんだ世代にとっては文句無しに楽しめる映画である。
たまたまブログで「シェリー」改訂版を書き上げてアップしたところで、どうしても映画を見たくなった。映画館に足を運んだのは数年前に招待券を貰った時以来で、自分でお金を払って行ったのはもう記憶が無いほど昔のことになる。楽曲とグループのことについてはブログに詳しく書いたのでどうかそちらを御一読願いたい。重複を避けるため本文では映画を見ての感想だけにとどめる。
館内は予想通り同世代の音楽好きと思われる観客が多かったが、意外に若い世代もチラホラ見受けられたのはどういうことなんだろうと思った。
映画の本編が始まる前にお決まりのCMや予告編があるのだが、その後映画館における禁止事項を伝える映像が流された。持参のカメラで隠し撮りするのは犯罪としてもちろん話題になってるので当然として、大声で歌ったり踊ったりする行為は迷惑行為として禁止ですと大真面目でアナウンスしてるのは実際にトラブルがあったからなのか・・・
さて映画が始まるともちろんよく知ってるヒット曲が次々とフォーシーズンズのメンバーに扮したミュージカル俳優によって歌われる。ヒットチャートを賑わした名曲揃いだからついつい踊りだしたくなるのだが、ここで禁止事項を思い出しぐっと堪える。
一番感動的な場面として記憶に残ってるのは、90年のロックの殿堂表彰式で20年ぶりに再会したオリジナルメンバーが歌う「悲しきラグ・ドール(Rag Doll)」と愛する娘を失いすっかり歌う気力を失くしたフランキー・ヴァリに対してボブ・ゴーディオが提供した新曲(あの名曲)「君の瞳に恋してる(Can't Take My Eyes Off You)」を舞台で歌った時に観客のスタンディング・オベイションで自分を取り戻す場面の2つ。
「君の瞳に恋してる」の裏側にはボブ・ゴーディオが持参して譜面を見せるのだが、チラと見て「娘を埋葬したばかりの俺にラブソングを歌えというのか」と苦しむ失意のどん底から這い上がったドラマがあったのだ。
もちろん手放しで褒めるばかりではなく、物足りなく思うこともいくつかあった。
俳優がカメラ目線で観客に説明する台詞が結構あったが、これはミュージカルの手法を踏襲したもののようなのだ。しかし映画としてはちょっと違和感がある。
ヒット曲を歌う場面が期待より少なく物足りなかった。街のチンピラと共同行動していたデビュー直前の部分はもっと短くて良い。
フランキー・ヴァリ役の俳優は歌はさすがに上手いのだが表情に乏しい。舞台ではそれで通用してもアップが多用される映画では致命的である。
エンドロールになりオリジナル版の「シェリー」と「悲しきラグ・ドール」が流れるのだが、さすがに最後まで誰一人として立ち上がらなかった。
もう少し名曲に浸る時間が長ければもっと良かったというのが本音である。オールディズ好きなら見ておいて損は無いが過剰な期待は禁物である。
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